地球(HOME) >  > ふしぎ森 > 千年沼のほとりの庵 ・あんこう和尚



 

千年沼の底にはカッパも住んでいるらしい。
しかし、のぞきこんでも底は見えず、水草の間をゲンゴロウやカエルがスイスイと泳ぎまわる水音だけがあたりにひびく・・・
古池やかわずとびこむ水の音 (芭蕉)・・・まるで千年も昔からあるように、その沼は古色蒼然としたたたずまい・・・と思いきや、静けさをやぶる歌声が・・・。
声の主はあんこう和尚。
鎌倉時代に生を受け、今年で722才。沼のほとりの草庵に棲む。
その大きな目は、世の中の移り変わりをすべて見てきたがゆえ。
今日もつややかな頭をなでながら、お経とゴスペルを朗唱する。
生きとし生けるものすべての幸いを念じながら・・・

 


わしの名は、正しくは号は真魁(しんかい)、法名を安光(あんこう)というが、難しいから
「あんこう和尚」でよろしい。生まれたのは弘安4年(1281年)のことじゃ。
弘安4年といえば、元寇(げんこう)といって蒙古(モンゴル)民族が建てた元という国から
2度めの軍勢が攻めて来た年じゃ。知っておるかな? 
この年に太平洋の深いところでアンコウとして生を受けたわしじゃが、
年ふるほどに神通力を備えるようになり、人間に姿を変えて陸に上がってはいろいろなことを
見聞きし、経験してきた。これからわしの気の向いた時になにかお話をしてあげようほどに、
時々遊びに来なさい。






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