すっかり葉が落ちた冬の森は、木のフォルムが剥き出しになっている。
その木々を支持体にして、モノトーンの森に絵を描くように色とりどりの紙テープをめぐらしていく。
好きな色の紙テープを手に取り、どの木にしようか見て回る。
木と木をつないだらおもしろいかな、枝に絡めていこうか、色々考えながら、枝はどんなふうに伸びているか、太い幹や木どうしの関係など観察する。
この遊びに付き合ってくれそうな木を探すのだ。
気になる木が見つかると、イメージは具体的になってくる。
巻きつけて幹をカラフルにしたり、木と木を回って色の空間を作ったり、手の届かないような高い枝に何度も投げて天から垂らしたり。
垂れ下がった紙テープを、時々吹く風がまるで生き物のようにたなびかせる。
何人もが紙テープを投げている木に行って一緒に枝に向かって投げた。
気がつけば、そこはカラフルな家のよう。
30人で180本の紙テープを使いきり、出来上がったその場所は、計算されたクモの巣のようなものではなく、木とさんざん遊んでできた奔放で有機的な色の洪水だ。
いかに森と遊んだか、その結果がこんなに分かりやすく見て取れるプログラムは他に無いのではないか。
紙テープが無くなると、ひと通りその景色を見てまわる。
お気に入りの場所で記念写真。
そして撤収。
おもいきって壊しながら、体に巻きつけていく。
芋虫のように紙テープを纏う行為は、木に絡めるのと同じくらいに楽しい。これもこのプログラムの大切な工程。
芋虫たちの記念撮影が終わると、全員ですべての紙テープをビニール袋に入れて、終了。
単純だけど奥が深い。
感じる力、直感力、空間の把握、色彩など感覚的なものが伸び行く幼児や低学年、考える力、工夫する力が伸びる高学年、中学生以上の子供たち。それぞれに与えたい必要な要素が詰まっているプログラム。
また、大人にも理屈抜きで楽しめるおもしろさがある。発散や森林浴もできて、子供に限定せず、大人向けのワークショップとしても楽しめそうだ。
石塚ツナヒロ